はじめに:特定建設業許可とは?
建設業を営む経営者の皆様にとって、事業の拡大は大きな目標ですよね。その目標の節目となるのが、「特定建設業許可」の取得です。この許可は、発注者から直接受注する元請け工事の場合で、下請けに5,000万円以上(消費税込)「建築一式工事の場合は8,000万円以上(消費税込)」の工事を発注する際の請負金額が基準となります。元請けとして直接受注する金額が8,000万円以上でも、下請けに4,000万円しか発注しなければ、特定建設業許可は必要ありません。大規模な工事を元請けとして請け負い、上記の金額を超えて下請けに発注する場合は必ず必要な許可になります。
特定建設業の要件は複雑!
この、特定建設業許可はを持つことは、会社の事業の幅を飛躍的に広げるのに欠かせない、信頼の証と言えます。しかし、特定建設業許可の取得には、一般建設業許可よりも一段と厳格な要件が求められます。その中で、特にクリアが難しく、かつ、最重要ポイントとなるのが「専任技術者」の配置です。
資格は持っているけど、特定建設業の要件は複雑でと、感じている方は多いかと思われますが、この記事では許可を取得するために必要な専任技術者の要件、特に複雑な指導監督的実務経験の活用法などについて、一つひとつ丁寧に解説していきます。
特定建設業許可における専任技術者の役割と設置義務
特定建設業における専任技術者とは、単に資格を持った人を置けばいい、というものではありません。法律上、営業所ごとに常勤し、その営業所で行う建設工事の請負契約を適正に締結し、またその履行を確保するための専門的な知識を持つ者と定められています。分かりやすく言えば、営業所において、請け負う建設工事の内容が適正か、法令違反がないか、そして品質が確保できるか、専門知識を持って判断・管理できる現場のキーマンとなる存在です。そして、この技術者は原則として他の職務を兼任せず、その営業所に常勤している必要があります。これが「専任」の意味するところです。特定建設業が大規模な工事を扱うため、一般建設業よりも高度で確実な知識と経験が求められるのは当然のことと言えるでしょう。

特定建設業許可の専任技術者になるためには
特定建設業の場合、一般建設業の専任技術者の要件(10年の実務経験など)とは異なり、高い専門性を証明する必要があります。主に認められているのは次の通りです。
1.一級国家資格
国家資格は要件をクリアする中で、最も分かりやすく証明も容易な方法です。認められるのは、許可を受けようとする業種に関連する、一級の国家資格を取得している方です。具体的には・・・
・一級建築士
・一級施工管理技士(土木、建築、管、電気など)
これらの資格があれば、原則として専任技術者として認められます。資格によって対応できる業種が細かく規定されていますので、お持ちの資格が申請する業種に対応しているかを確認しましょう。
特定建設業の場合、7つの指定業種に関しては指定建設業となり、専任技術者の要件は実務経験では認められず、一級の国家資格者のみになります。
- 建築工事業
- 土木工事業
- 電気工事業
- 管工事業
- 鋼構造物工事業
- 舗装工事業
- 造園工事業
2・指導監督的実務経験
この規定は、前述の一級国家資格がない方を対象としていますが、特に厳しい要件が課せられます。特定建設業の7つの指定業種以外の業種について適応されます。
一般建設業の専任技術者の要件を満たし、元請けとして請負代金が4,500万円以上(現在)の建設工事で、かつ、許可を受けようとする業種に関して、2年以上の指導監督的実務経験を備えなる必要があります。この指導監督的実務経験とは、単に現場で働いていた経験ではありません。元請けとしてその工事の施工に当たり、部下を指導・監督する立場での経験、主任技術者、工事現場監督者、現場代理人などの立場で、工事の技術面を統括管理した経験を指します。
3.大臣認定
これは国土交通大臣が、個別に一級の国家資格者と同等以上の能力があると認めた方を指します。
専任技術者の常勤性と専任性の証明ポイント
資格や経験をクリアしたら次は、常勤で専任であることの証明です。
常勤性の証明
営業所に継続的に勤務していることを示すため、単んなる名義貸しでない証明が必要です。健康保険・厚生年金保険被保険者標準報酬決定通知書、住民税特別徴収税額通知書、賃金台帳や出勤簿など、会社との所属関係や継続的な勤務実態を証明する書類を漏れなく用意しなければなりません。
専任性の確認
専任性は厳しくチェックされます。その技術者が、他の営業所の専任でないか、他の法人の役員、あるいは他の事業の代表者などを兼任していないかを細かく審査されます。掛け持ちは原則として認められません。これらの証明は非常に厳格で、書類の不備で補正や不許可になる事例も少なくありません。
専任技術者に関する疑問
Q1:代表取締役でも専任技術者になれますか?
はい、なれます。ただし、代表取締役であっても、その営業所に常勤し、専任で技術的な職務に就いていることが証明できなければなりません。
Q2:専任技術者が退職した場合どうなりますか?
非常に重要な問題です。専任技術者の退職などで要件を満たさなくなった場合、14日以内に届出書を提出しなければなりません。後任の専任技術者が見つからない場合には、行政指導により廃業届を提出することになります。これを怠ると不利益処分で許可が取り消されます。そうなってしまうと、その後5年間は再度、許可の申請が出来なくなりますので、迅速な対応が必要です。届出書を出してから廃業届を自主的に提出すれば、許可の取り消しにはなりますが、専任技術者の要件を満たした者を確保してから再度、建設業許可を申請できます。不利益処分での取り消しとは大きな違いがあります。
Q3:創業直後の会社でも特定建設業許可を取得できるのか?
創業直後で、工事実績がない会社でも、技術者や財産的基礎の要件を満たしていれば、特定建設業許可取得は可能です。工事実績そのものは要件ではありません。
まとめ:適切な専任技術者の配置で事業拡大を!
特定建設業許可は、事業をさらに大きく発展させるための信頼の証であり、社会的な評価を高める上で不可欠です。専任技術者の要件は複雑で厳格ですが、適切な資格や実務経験を持つ人材を正しく配置し、それを証明するための書類を計画的に準備すれば、必ずクリアできます。
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