定款とは、会社の基本的な事項を定めた根本規則のことです。つまり、「会社の憲法」です。そこで、この定款に絶対に書くべき事について解説したいと思います。会社の憲法とまで呼ばれるほど重要性がある定款ですが、作成するにも何をどの様に書いていいものなのか?どこまで書かなくてはいけないのか?書き方が違っていたら無効になってしまうのか、など、不安は尽きないですよね。会社の土台ともなる定款のイメージを明確にするために、今回は、この定款の作成についてのテーマに焦点をおいて、法律で決められている絶対的記載事項を決める上での具体的ポイントを説明していきたいと思います。
定款が無効になる!絶対的記載事項とは
会社の定款には法律で定められたいくつかの項目がありまあす。その中で一つでも欠けていると、定款そのものが無効となっていまう最重要な項目がいくつかあります。この項目を「絶対的記載事項」と呼びます。あなたの夢のカタチである会社を立ち上げるのに、とても大切なルールを決めるのですから、絶対に漏れのないようにしっかりと決めましょう。
会社の名前「商号」の決定
当たり前と思うかもしれませんが、会社の名前「商号」は、定款において最も大切な記載事項です。
・商号には会社の種類、株式会社なら「株式会社」、合同会社なら「合同会社」を、必ずつける必要があります。場所は前でも後ろでも大丈夫です。
例:株式会社白石、白石合同会社
※以前は同じ場所で同じ商号は使えない事になっていましたが、現在は、同じ本店所在地でなければ、類似した商号でも登記自体は可能ですが、後々トラブルにならないように、法務局やインターネット等で調べておく事がとても大切です。
会社の活動内容「事業目的」の決定
会社の活動内容となる「事業目的」を具体的に示します。
・事業目的には、将来的に展開したい事業内容も出来るだけ考えて、具体的に幅広く記載しておきましょう。
・例:家具の販売だけでなく
1.家具、インテリア用品、日用雑貨の販売及び輸出入業
2.中古家具、リサイクル家具の仕入、販売及び輸出入業
3.インターネットを利用した通信販売業
4・上記に附帯関連する一切の事業
※最後に「附帯関連する一切の事業」を入れておくと、関連事業を柔軟に行いやすくなります。「事業目的の変更」は、定款変更、株主総会の特別決議が必要なので、広めに設定してしておく事が得策です。
・注意点:会社の登記簿謄本に記載される事業目的は、銀行融資の審査や許認可申請の時の会社の信用に直接関わってきます。あまり書きすぎて抽象的過ぎたり、現実的にあまりにも実現不可能な内容だと、公証役場や法務局で認められない可能性があります。
会社の住所「本店の所在地」の決定
次に会社の本拠地となる「本店所在地」も記載します。
・定款に記載するのは最小行政区画(市区町村)までで大丈夫です。
・例:「東京都港区」まで記載、「群馬県館林市」まで記載。
※細かな番地までは登記申請の際に記載します。
・具体的な番地まで定款に記載してしまうと、将来、最小行政区画が変わらない引っ越しをしたとしても、番地が変わっていしまうので定款の変更、公証役場の認証が必要となり、余計な費用と手間がかかります。このような事態を防ぐためにも、柔軟性を保って最小行政区画までの記載が一般的です。
会社の設立に際して出資される財産の価格「資本金」
資本金は、発起人が会社に提供する財産の価格です。(金銭又は現物)
現在は最低資本金は1円ですが、実際に1円で設立しても、社会的信用度が低いため、銀行融資の審査や様々な取引に影響を与えます。事業計画に基づき適切な額を設定するようにして下さい。
会社の「発起人」の氏名または名称及び住所
発起人とは、会社設立を計画して定款に署名をし、最低1株の出資をする人のことを指します。定款に設立時の発起人全ての氏名又は名称と住所(印鑑証明書と同一記載)にする。
発行可能株式総数
設立時発行株式の総数は、非公開会社の場合を除き、発行可能株式総数の4分の1を下回ることはできない。
※原始定款に記載する必要はないが、会社の設立時までには記載する必要があります。
定款のポイント、任意的記載事項で決めるルール
絶対的記載事項は記載しなければ会社が成立しませんが、任意的記載事項は法律で義務付けされていないが、定款に記載しないと効力が認められないので、会社運営上の便利のために記載されます。
・事業年度の定め(多くの会社が定めます)
・代表取締役の選定方法
・役員の員数など
電子定款は費用が安くなる!
株式会社の定款を紙で作成した場合は、公証役場で認証をする際に4万円の収入印紙代がかかります。しかし、電子定款で作成して電子署名をすることで、4万円の印紙代が不要になります。電子認証は行政書士に依頼をすれば電子定款を作成をしてくれて、印紙代が節約になるので、専門家に相談する事をおすすめいたします。定款電子認証の行政書士このように、定款の作成はちょっと面倒で難しく感じるかもしれませんが、あなたの会社がこの先、どのようなルールでどのような活動を目的とするのかを定める大切な決め事です。絶対的記載事項を慎重に決めて、将来の事業運営をスムーズにする任意的記載事項も押さえて、会社の土台がしっかりと出来上がれば、あなたが思い描く事業を展開していく事ができるようになります。